Sansanがタイに進出。名刺文化と営業DXの未来はASEANにある?

Saas/ITツール

Sansanがタイへの本格進出を発表しました。
国内で“名刺管理といえばSansan”というポジションを築いた同社が、なぜ今、海外、しかもタイ市場に目を向けたのでしょうか?

本記事では、Sansanのタイ進出の背景、東南アジア市場のポテンシャル、そして今後の展開における注目ポイントを整理します。


Sansanは、法人向け名刺管理サービス「Sansan」を提供するSaaS企業です。2024年には現地法人「Sansan Thailand Co., Ltd.」を設立し、2025年現在では日本からの駐在員に加え、現地採用メンバーを含む本格的な体制を構築し始めています。

提供するのは名刺管理だけでなく、営業支援や請求書関連など、より広範な“営業DX”領域を視野に入れた展開。日系企業だけでなく、タイの現地企業に対しても提案を始めているとのことです。


Sansanが東南アジア市場の第一歩としてタイを選んだ理由には、次のような背景があります。

理由詳細
✅ 日系企業の多さタイには5,000社を超える日系企業が進出しており、日本式の営業文化が根付いている
✅ 名刺文化が残る東南アジアでも対面・名刺交換がビジネス上の基本となっている国が多い
✅ DX化の流れタイ政府主導の「Thailand 4.0」により企業のIT投資が加速中

Sansanにとっては、「名刺」という慣習を足がかりに、営業データのデジタル化=営業DXを提案しやすい土壌があるということです。


Sansanの最大の特徴は、名刺という“アナログな入り口”から、CRM・営業支援・マーケティングへとつながる“デジタルの価値”を創出する点です。

  • 営業メンバーが受け取った名刺が、自動的に組織の資産になる
  • 誰が誰と会っているかの「接点情報」を可視化できる
  • 名刺データを起点に、営業活動を効率化・高度化できる

これは、営業組織が属人的になりがちな日本企業だけでなく、タイやASEAN地域の企業にとっても魅力的なアプローチです。


もちろん、海外展開には課題も伴います。

  • 🈁 言語の壁(英語+タイ語対応)
  • 🈁 名刺管理という概念の啓蒙
  • 🈁 現地企業との信頼構築と営業リードの獲得

特に、現地のスタートアップや成長企業にとっては「そもそも名刺管理って必要?」という視点もあるため、価値訴求の工夫が求められるでしょう。

ただし、日系企業から着実に導入を進め、導入企業の声をローカルでも展開できれば、“日本式SaaS”としての成功モデルを構築できる可能性もあります。


今後の注目は、以下の3点です。

  1. 日系企業での成功事例の創出
  2. ローカル企業への導入とフィードバック循環の仕組み化
  3. ベトナム・インドネシアなど他ASEAN地域への水平展開

Sansanが単なる「名刺管理」企業から、「営業DXプラットフォーム」企業としてASEANに根を張れるかどうか。これは、日本発のSaaS企業がグローバルで戦っていく上での大きな指標になりそうです。


Sansanのタイ進出は、名刺文化という“共通語”を軸にしながら、日本式の営業DXをグローバルに展開する試みです。

国内市場の成熟化が進む中、SaaS企業が次の成長の柱として東南アジアを選ぶ流れは今後ますます加速するはず。Sansanがそこでどのように存在感を発揮していくのか、今後の展開に注目です。

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