SaaS企業において「カスタマーサクセス(CS)」は欠かせない存在です。 しかし最近、AIの進化によってCS業務の一部は代替される可能性が現実味を帯びてきました。
この記事では、「CSはAIで代替されるのか?」という問いを軸に、AIに代替される業務とそうでない業務、今後CS人材に求められる進化について考えてみたいと思います。
🤖 AIに代替されやすいCS業務
CSの中でも、特に以下のようなルールベースで繰り返しが多い業務は、AIに代替されやすくなっています。
- チャットボットによるFAQ対応
- オンボーディングの進捗確認(自動リマインド)
- NPSアンケートの取得と簡易分析
- 顧客対応の議事録作成や要約(例:Notion AIやOtter)
- 利用状況の定期レポート送付
実際に、これらの業務は既に多くのSaaS企業でAI・自動化が導入されつつあり、人力ではなく「プロセス設計+ツール運用」で運用されるようになっています。テックタッチの領域がAIによって効率化されるという印象です。
🧠 AIには代替されにくいCSの本質業務
一方で、以下のような業務はAIだけでは代替しづらい領域です。
- 顧客の業務フローを理解した上での活用提案
- 複数のステークホルダーと信頼関係を築くこと
- 顕在化していない課題を察知して先回りする支援
- プロダクトにフィードバックを返す視座の高い視点
- エスカレーションやトラブル対応における“人間力”
これらは単なる作業ではなく、「共に事業を成功させるパートナーとしての振る舞い」が求められます。感情や文脈を読み取り、状況に応じて言葉を選び、顧客に“納得”を提供する。これは現時点ではAIが苦手とする領域です。
むしろドキュメンテーションなどで差が出にくくなるので、よりウェットな部分「信頼関係の構築」の価値が一層高まると考えています。
💡 AI時代のCSに求められる進化
AIの台頭を恐れるのではなく、むしろ**「AIと組むCS」**へと進化することが求められます。
そのためには:
- 業務の可視化と分解:何がAI化できて、何が人間にしかできないのかを明確にする
- ツール理解と設計力:ChatGPTやZapier、Notion AIなどを活用してプロセス設計する
- 戦略的視点とビジネス理解:単なる活用支援ではなく「顧客の成功とは何か?」を考える力
- 顧客の声をプロダクトに翻訳する能力:CS×PdM的視点
✍️ まとめ:CSはなくならない、変化するだけだ
CSという職種は、単に「手厚いサポート」ではなく、「顧客の成功とLTV最大化に責任を持つ戦略的ポジション」です。
その中で、AIは確かにいくつかの業務を置き換えていくでしょう。しかしそれによってCSが不要になるのではなく、「より本質的な仕事に集中できる環境」が整うのだと考えるべきです。
これからのCSには、「人間にしかできない価値提供とは何か?」を問い続け、自らの役割を再定義し続ける姿勢が求められます。
AIに使われるのではなく、AIと共に進化するCSへ。未来のCSは、もっと面白くなるはずです。
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